クルマを運転していると頻繁に目にする「徐行」の道路標識ですが、徐行とは、具体的に時速何キロのことを指しているのでしょうか?道路交通法によって定められている、道路標識がなくとも徐行しなければならない場面とは?そして、徐行の表示や指示に違反した場合、罰則はあるのでしょうか?本コラムでは、これらについて、詳しく具体的に解説していきます。

徐行の道路標識と補助標識
徐行の道路標識は、ご覧のように赤く縁取りされた逆三角形で表され、中に青字で「徐行」と書かれたものです。2017年以降は、外国人観光客の増加や、2020年東京オリンピック・パラリンピック(開催は2021年)を受けて、「徐行」の文字の下に英語で「SLOW」と併記したデザインも増えてきています。これらの道路標識は都道府県公安委員会によって設置されたもので、この道路標識のある場所では、当然、ドライバーは徐行をしなければなりません(こうした道路標識がない所でも徐行しなければいけない場所がありますが、それについては後述します)。
また、この道路標識の下に、「ここから◯m」といった文字が表示されているのを見かけることもあるかと思います。これは「補助標識」と呼ばれ、上にある道路標識(この場合は「徐行」)の意味を補うために設置されているものです。「徐行」の補助標識には、他にも「→(右矢印)」「ここから」といったものがあり、これらは徐行期間の始まりを表しています。これらと対になるように「←(左矢印)」や「ここまで」、または青地の◯にスラッシュの表示が出てくれば、徐行期間の終わりという意味になります。
徐行とは「時速何キロ」では定義できない?
さて、この「徐行」の標識に遭遇した場合、ドライバーは時速何キロまで速度を落とせば良いのでしょうか。徐行の定義は、道路交通法第2条20項にて定められています。
その定義とは、「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行すること」というものです。ちょっと拍子抜けですが、ご覧のように、ここには「時速何キロ」といった明確な定義はありません。徐行をしなければならない環境や状況はさまざまですから、時速何キロといった数字で明確に定義することができないためと考えられます。ただしおおよそのところは周知されており、「およそ10km/h以下、かつ1m以内で停止できる速度」等と、自動車教習所では教えられたりしているようです。
徐行すべき「場所」と「場合」

このようなわけですから、ドライバーがその都度、道路状況を見極めて減速する(徐行する)ことが、とても大切になってきます。例えば普段の路面、雨が降っている時の路面、降雪時の路面や凍結路では、当然ながら、停止に要する時間がかなり変わってくるはずです。
アクセルからブレーキに足を移動させるのに、およそ1秒かかると言われています。その間にクルマは数十メートル進んでしまうかもしれません。徐行時にはそのことを頭に入れ、十分な減速を心がけるようにしましょう。
さて、道路標識で示されている場所以外にも、徐行しなければならないと道路交通法によって定められている「場所」と「場合」があります。これらも重要ですので、次に見ていきましょう。
クルマが徐行すべき「場所」

道路交通法第42条によって、クルマは次のような場所を通行するときには、徐行しなければならないと定められています。
- 「徐行」の道路標識等があるところ。
- 左右の見通しが利かない交差点に入ろうとするとき(交通整理が行われている場合や、優先道路を通行している場合を除く)。
- 交差点内で左右の見通しが利かない部分を通行しようとするとき(交通整理が行われている場合や、優先道路を通行している場合を除く)。
- 道路の曲がり角付近。
- 上り坂の頂上付近。
- 勾配の急な下り坂。
以上6つの「場所」です。いずれも合理的な理由のある徐行義務であることが見て取れるかと思います。
クルマが徐行すべき「場面」
上に書いたような「場所」の他にも、クルマは以下1〜13のような「場面」において徐行しなければならないということが、道路交通法によって定められています。目を通してみればいずれも納得の内容ですが、普段の運転においておろそかにしていないかどうか、今一度、確認をしてみてください。
- 警察署長の許可を受けて歩行者用道路を通行するとき。
- 歩行者等の側方を通過するときに安全な間隔がとれないとき。
- 道路外に出るため右左折するとき。
- 乗客が乗降するために停止中の路面電車の側方を通過するときに、安全地帯があるとき。または乗降客が居ない停止中の路面電車との間に、1.5メートル以上の間隔があるとき。
- 交差点で右左折するとき。
- 環状交差点に入り、環状交差点内を通行し、環状交差点を出るまで。
- 交差道路が優先道路や道幅の広い道路であって、それに進入するとき。
- 緊急自動車が法令の規定により停止しなければならない場所を通過するとき。
- 普通自転車が歩道を通行するとき。
- ぬかるみや水たまりの場所を通行するとき。
- 身体障害者や、保護者が付き添わない児童、幼児、高齢者の通行を妨げないようにするとき。
- 児童、幼児などが乗降するため停止中の、通学通園バスの側方を通過するとき。
- 道路の左側部分に設けられた安全地帯の側方を通過する場合において、当該安全地帯に歩行者がいるとき。
「最徐行」とは何か?

時折り見かける「最徐行」の看板や路面表示ですが、これについては、明確な法的定義はありません。これらは都道府県公安委員会によって設置されたものではなく、設置されている場所の管理者等が「徐行よりもさらに速度を落とし、注意深く走行してください」という意味で表示しているものです。ですから後述するような反則点数や罰金義務はありませんが、「徐行標識がある場所以上の危険があるもの」と認識して運転するのが良いでしょう。
徐行違反には、反則点数と反則金額がある
徐行の義務に違反した場合は、「徐行場所違反」として2点の反則点数と、普通車の場合は7,000円の反則金額が課せられます。また、悪質と判断される場合は「安全運転義務違反」に問われる場合もあります。くれぐれも気を付けるようにしたいものです。
「徐行=すぐ止まれる速度」

以上、道路標識や「場面」「場所」によって徐行が義務付けられていること、また、徐行には明確な数字による定義がないことを見てきました。前者については、本コラムにて改めてご確認いただけたことと思いますが、後者については、時速何キロといった数値的な定義がない以上、「徐行とは、すぐ止まれる速度で走ること」と覚えるのが良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。
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