運転中に、どれくらい意識してエンジンブレーキを使っていますか? フットブレーキとの原理的な違いなどはご存知でしょうか。あるいは、燃費に及ぼす影響については? 本コラムでは、エンジンブレーキの仕組みや使い方、どんな場面で使うべきかを解説し、そして結局、燃費は良くなるの? 悪くなるの? という疑問にお答えします。

エンジンブレーキの仕組み
アクセルペダルを踏み込むと、エンジンに空気が送り込まれてガソリンが燃焼し、クルマが走ります。この逆に、アクセルペダルから足を離すと、エンジンに送り込まれる空気の量が減少し、タイヤの回転力だけでエンジンを動かす状態になります。この際、タイヤがエンジンを動かす負荷によって、タイヤの回転力は落ち、クルマは次第に減速していきます。これがエンジンブレーキの仕組みです。

エンジンブレーキの使い方
使い方1. アクセルを踏むのをやめる
上述のように、エンジンブレーキには特別な操作方法があるわけではなく、走行中にアクセルを踏むのをやめるだけで、エンジンブレーキをかけることができます。ただしブレーキのかかり具合がマイルドに感じられる場合もあると思いますので、そういった場合は次の2を試してください。
使い方2. ギアを低速に入れる
ギアが低速になるほど、エンジンブレーキの効きも強くなります。そこで、例えばオートマ車であれば、ギアを「D」→「2」→「L」と、適宜下げていきましょう(シフトダウン)。ただし、一気に下げると急ブレーキのような状態になってしまいます。1つ下げるだけで十分な場合もありますし、連続して下げたい場合も、あくまで1つずつ段階を踏んで下げてください。
エンジンブレーキとフットブレーキの違い
フットブレーキ、いわゆる通常のブレーキは、ブレーキペダルを踏み込むことによって作動します。フットブレーキには「ドラムブレーキ」や「ディスクブレーキ」がありますが、いずれも摩擦の力を使ってタイヤの動きを制御するところに特徴があります。回転しようとするタイヤの勢いを、ブレーキシューやブレーキパッドといった部品を使って物理的に削いでいくわけです。対してエンジンブレーキは、エンジンの出力を抑制することで、自動車をゆるやかに減速させていきます。

エンジンブレーキが活躍するシチュエーション
・長い下り坂
山道などで長い下り坂に差し掛かると、「エンジンブレーキ」といった看板が掲示され、エンジンブレーキの使用が推奨されていることがあります。フットブレーキは、繰り返し酷使すると、ブレーキオイルが沸騰してペダルを踏んだ力がブレーキに伝わらなくなる「ペーパーロック現象」や、摩擦剤の加熱によってブレーキ性能が低下する「フェード現象」が起きやすくなります。
このような事態になることを避けるために、エンジンブレーキの使用は効果的です。長い下り坂では、ぜひ効果的に運転にエンジンブレーキを取り入れてください。
・信号
混雑状況にもよりますが、信号がもうすぐ青に変わりそうなタイミングで交差点等に差し掛かる場合には、エンジンブレーキで減速しつつ走行すると便利です。信号が青に変われば、クルマを停車させることなくそのまま進行することができますし、赤のままということになれば、フットブレーキに変えてスムーズに停車できるからです。

・高速道路
高速道路ではクルマの運転速度が上がっており、車間距離も広く、停車や減速に時間がかかるため、エンジンブレーキの効果的な活用が望まれます。
フットブレーキを頻繁に使っていると、そのブレーキランプの点灯を見ては、後続車もフットブレーキを使うことになるため、その繰り返しが渋滞を生み出す原因となってしまいますが、エンジンブレーキを柔軟に織り込んだ運転であれば、そのような事態も避けられます。
ただし急速な減速が必要なときは、躊躇せず、直ちにフットブレーキを使うようにしてください(この場合、ブレーキランプが点灯することも、後続車への重要なサインになります)。

・高速道路の出口
高速道路の出口では、インターチェンジしかり、サービスエリアやジャンクションしかり、それまでのスピードからぐっと減速することが求められます。しかも道路はカーブを伴っていることが多い点にも注意しなければなりません。このようなシチュエーションでは、フットブレーキで急に減速すると後続車に迷惑となります。余裕をもってエンジンブレーキで減速しつつ、必要に応じてフットブレーキを使うのがスマートでしょう。
エンジンブレーキと燃費との関係は?
一般的には、エンジンブレーキを使うと燃費が良くなる、と説明されることが多いようです。確かに理論的には、エンジンブレーキを使ったときの燃費は良くなります。エンジンブレーキを使っている時というのは、意図的にエンジンへの燃料供給を少なくしている状態ですから、その分だけ燃費が良くなるというわけです。
ですが、エンジンブレーキを盛んに使うことが、燃費が良くなることに直結するわけでは、必ずしもありません。燃料の噴射量は、その他の運転要因(停車中のアイドル状態や、急激にアクセルを噴かす、踏み込むなど)によって大きく変わってきます(燃費を向上させる運転方法については、コラム「燃費を考えると、ガソリン車よりハイブリッド車がオススメの理由」でも取り上げましたのでご参照ください)。
燃費とは端的にいえば、アクセルが一定である場合に良くなるもの。急スタートや急ストップなどがなく、アクセルをふんわり操作し続けた場合に、燃費は向上していきます。その意味ではエンジンブレーキは燃費の向上に役立つ一因ではありますが、どちらかというとその効果は微々たるもので、その人自身の持っている運転特性(クセ)の方が、燃費を大きく左右するということがいえそうです。
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