日本の夏は近年ますます暑さを増し、クルマを炎天下に駐車しておこうものなら、車内温度は短時間でとんでもない熱さになってしまいます。例えば営業周りの場合など、クルマを止めては用事を済ませ、またクルマに乗り…といったことを繰り返すわけですから、毎回、灼熱地獄のような車内に戻らなければなりません。夏場の営業効率を上げるためにも、クルマの猛暑対策が必要ではないでしょうか。
果たして上昇し切った車内の熱気を、なるべく早く下げる方法とは…!?

炎天下で車内温度はこれだけ上昇する!
まず、車内温度を上げないための対策を見てみましょう。これについてはJAFが実験を行っています。室温を25℃に揃えたミニバンを5台用意し、35度の炎天下で、午後12時から4時間、車内温度の変化を測定するというものです。結果は下記の通りでした。
車内最高温度 | 車内平均温度 | ダッシュボード最高温度 | |
対策なし(黒) | 57℃ | 51℃ | 79℃ |
対策なし(白) | 52℃ | 47℃ | 74℃ |
サンシェード装着 | 50℃ | 45℃ | 52℃ |
窓開け(3cm) | 45℃ | 42℃ | 75℃ |
エアコン作動 | 27℃ | 26℃ | 61℃ |
このように、熱射が長時間に及んでしまうと、サンシェードや窓空けをしていても車内温度は大変な高温になってしまうことがわかります。停車時にエアコンをかけっぱなしにするのも(同乗者がいない状態では)現実的ではありません。
ダッシュボードで目玉焼きが!?
特に危険なのがダッシュボード部分の熱です。JAFでは日常品をダッシュボードに放置する実験も行っています。
その結果、例えばクレヨンセットは約1時間20分で全て溶けて流れ出しました。フライパン上の生卵は約1時間で黄身の周りが白くなり、約2時間で目玉焼きになってしまいました。
より現実的な物品では、スマートフォンは警告画面が表示され、一部の機能を除いて使用不能に。100円ライターは2〜3時間でケースに亀裂が生じ、ガスが抜けたというのですから大変です。ダッシュボードはエアコン作動時でも61℃、対策なしの黒色自動車では79℃にもなるという実験結果を、よく踏まえる必要がありそうです。

車内の温度上昇を抑える方法6選!関連グッズもご紹介
さて、このような事態を避けるためにも、まずは車内温度の上昇を抑えることが大切になってきます。先ほどのJAFの実験では、窓を閉め切った車内の温度は、わずか30分で45℃まで上昇することがわかっています。まずは駐車時、なるべく車内温度を上げない工夫が必要であることがわかります。
1.なるべく日陰に駐車する
あくまで気休め程度の対策ではありますが、炎天下に駐車するよりも、選べるならば日陰に駐車することで、多少なりとも車内温度の上昇は抑えられます。
2.窓を少し開けておく
車内の密閉空間の空気が全体に熱せられることによって、車内温度の上昇が起こります。それを避けるために空気の通り道をつくるのがこの方法です。多少の効果は見込めるかと思いますが、防犯面で不安が残るのと、突然の雨なども心配です。
3.ドアバイザーを付ける
2とも関連しますが、車の窓の上部分に取り付ける「ドアバイザー」(オプションパーツ)があれば、窓を少し開けていても雨風の影響を受けにくくなります。また雨風の強い日の運転時にも、多少窓を開けて運転することができるでしょう。
4.サンシェードを使う
フロントガラスの内側部分にセットして、直射日光を防ぐグッズがサンシェード。折り畳んだ状態から展開するものや、様々なデザインのものが市販されています。UVカット機能がついたものや、吸盤で取り付けが容易になっているものなどもあります。お手軽な暑さ対策の定番といえるでしょう。100円均一ショップや300円均一ショップでも手に入りますから、入手性やコストパフォーマンスも抜群です。
5.遮光カーテンを付ける
多少ものものしい見た目にはなりますが、ドア部分に日光を遮る遮光カーテンを付けることで車内温度の上昇を防ぐ方法もあります。これもグッズとして購入できますが、一部の大型ミニバンでは、オプションとして用意されているものも。ただしフロントガラス部分には取り付けられませんので、サンシェードと組み合わせて使うのが良いでしょう。
6.断熱フィルムを貼る
ウィンドウに直接貼り付けて、日光の熱を吸収・反射し、車内温度の上昇を防ぐグッズが断熱フィルムです。透明なものからスモークまで様々な色合いがあるのですが、フロントガラス・運転席・助手席には、法律上、スモークタイプのものは貼れませんので注意が必要です。
車内温度を下げる方法6選!関連グッズもご紹介
いったん車内温度が上がってしまったら、今度はそれをいかに下げるかを考えなくてはなりません。中は熱中症にもなりかねない熱さ、とにかく早く温度を下げたいところですね。現場・現物で対処する方法や、専用グッズを使う方法。ここでは6つに分けて、その効果のほどを考えてみましょう。
1.ドアの開閉で熱気を排出して車内温度を下げる
これもJAFの実験で行われています。車内温度が55℃まで熱せられたクルマで、エアコンは使わず、助手席のドアだけを開けて空気の通り道をつくり、運転席のドアを5回開閉するというものです。その結果、55℃の車内温度が47.5℃まで下がりました。下がったとはいえ47.5℃の高温ですから、とてもではないですがそのままではいられませんね。乗り込む際の応急処置として試みるとしても、何らかの対策と合わせて行った方が良さそうです。
2.ボディに水をかけて車内温度を下げる
こちらもJAFの実験結果を参照しましょう。結果は、バケツ(1杯8L)で3杯分の水をかけたものの、車内温度は0.9℃しか下がらなかったそう。車体に水をかけるこの方法については、効果なしと考えた方が良さそうですね。ただし先に見たようにダッシュボードが異常に高温になっている時などに、濡れタオルで拭いてあげるのは効果アリです。気化熱で高温を冷ますわけです。

3.冷却スプレーを使って車内温度を下げる
それでは、クルマ用品店や通販などで気軽に手に入るグッズ、クルマ用冷却スプレーの効果はどうでしょう。実験では、車内温度が55℃まで上がってしまっていると、社内に冷却スプレーを噴射して3分ほど待っても、50℃程度までしか下がらないそうです。ただし、ハンドルやダッシュボードなど、部分的に冷やしたい箇所に使う際には効果を発揮するでしょう。気を付けたいのは、冷却スプレーはLPG(ないしはエタノール)などのガスを噴射し、その気化熱で温度を下げるものだということ。このLPGは可燃性で、おまけに空気よりも重いため、噴射するとクルマの下方に溜まります。それが何らかのきっかけで引火・爆発する危険性があるのです。使用時には火気等に十分注意しましょう。
4.リモコンスターターで事前にエアコンを入れて車内温度を下げる
クルマに乗る前に、離れた場所からエンジンをかけられるリモートエンジンスターターを設置すれば、乗車前にあらかじめ車内をエアコンで冷やしておくことができます。
例えばトヨタ車の場合は、「リモートスタート」というスマホアプリがあります。簡単なアプリ操作でエアコンを遠隔操作でき、時間を設定しておけば、自動でオフにすることもできます。

5.車用扇風機を使って車内温度を下げる
車用扇風機は、クルマ用グッズとしてたくさんの種類のものが発売されています。エアコンとの合わせ技にはなりますが、適切な場所に設置して、エアコンの冷気を車内全体に循環させ、車内温度を下げるのに有効活用できるでしょう。
6.窓の開閉とエアコンの合わせ技で車内温度を下げる
JAFの実験によれば、熱された車内温度を下げるためには、この方法が最も効率が良いということがわかっています。多少のステップは必要ですが、基本は熱された空気を外気と入れ替えたのち、エアコンで車内の空気を冷やすというものです。ステップは以下のようになります。
まず、窓を全開にし、エアコンの温度設定を最低にまで下げつつ外気導入に切り替えます。その状態のまま2分間走行すると、徐々に車内の熱気が排出されてきます。そこで2分後、窓を閉めて内気循環に切り替え、エアコンの冷気で車内を冷やします。
JAFの実験では、以上のステップで、車内温度55℃の状態から、わずか2分後には一気に28℃まで低下したということです。

暑い車内は熱中症の危険!その兆候と対策は!?

さて、高温になった車内の熱を下げる方法を見てきましたが、このような車内では、熱中症の危険が現実味を帯びてきます。熱中症は数分間高温の室内にいるだけで重症化するおそれがありますから、誰にも無関係ではありません。
大量の汗をかいたり、軽い頭痛、めまいや立ちくらみが起こったりしたら熱中症のサイン。また塩分の欠乏から、足がつる、いわゆるこむら返りの症状が出ることもあります。
自身や同乗者がこうした状態になったら、急いで涼しい場所に移動し、すぐに水分補給しましょう(できれば経口補水液が望ましいでしょう)。そして首や両脇、鼠蹊部などに、冷えたペットボトル等をタオルでくるんで当てて冷やします。この時、首周りやベルトなど、衣類で身体が締め付けられている部分をゆるめるようにしましょう。
熱中症には十分に気を付けて、暑い時期の外回りを乗り切るようにしてください。
いかがでしたでしょうか。
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